岡山県玉野市に伝わる伝説-西行と渋川-

西行と渋川

岡山県,玉野市,伝説,風習

現在、渋川海岸には海洋博物館の近くに西行の大きな像が建っている。そして海岸に沿った遊歩道の脇の石碑に西行が詠んだ歌が彫られている。

 

"おりたちて浦田に拾う海女の子は つみより罪を習うなりれり"

 

西行が五十才のとき、西国行脚を志して、玉野を訪れた西行が、讃岐の五色台(白峰)で崩御された恩君、嵩徳上皇のご陵を参拝しようと、浦田の浜(渋川)で渡舟を待っていた。

 

この時、風光のよい浦田の浜に子供が大ぜいでて、貝を拾っていた。西行は何を拾っているのかと村人にたずねた。村人は、つみ貝を拾っているのですと答えた。 世の無常、あわれを知る西行は、「ああ、このあたりの海士の子は、子供の時から罪深い漁をこうしたところから習い覚えるのだろう」と詠嘆したものであろう。

 

「玉野の伝説」

著者:河井康夫

発行:昭和53年

 


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現在、渋川海岸には海洋博物館の近くに西行の大きな像が建っている。そして海岸に沿った遊歩道の脇の石碑に西行が詠んだ歌が彫られている。
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