黒岩大明神
歌見の沖合いは、昔、児島の北航路なっていて、このあたりの海の難所であった。
潮流が速く、岩礁があったからである。そこに黒岩という小さな岩礁があった。
ここは、昔、戦死した「黒岩某」という人を埋葬した場所であり、海の難所でもあったので、人々に恐れられ、海難事故がよく起こったところであった。そのため、ここに小さな祠を建て、その霊をとむらって黒岩大明神を祀ってきた。しかし今は、もう児島湖の海底に沈んでしまって、知る人も少なくなってしまった。
「玉野の伝説」
著者:河井康夫
発行:昭和53年
このカテゴリーの伝説
- 浜の神様
- 県内でも有数の海水浴場である渋川海岸は、夏には大勢の海水浴客でにぎわう。この海岸の松林の中に渋川八幡宮があり、境内に「浜の神さま」と呼ばれている小さな社がある。
- 西行と渋川
- 現在、渋川海岸には海洋博物館の近くに西行の大きな像が建っている。そして海岸に沿った遊歩道の脇の石碑に西行が詠んだ歌が彫られている。
- 大槌・小槌・大蛇退治
- 大槌・小槌の二つの島は日比沖にあって、大槌島は岡山県と香川県の県境になっている。標高約150メートルの円錐形の島で木が繁って、鳥などの天国になっている。
- 海の幽霊
- 海に出れば、現代でも常識では、はかり知れないことがよく起こる。風がないのに急に、波が高くなったり、潮が早くなったりする。そうしたことで命がけの航海をすることが多い。そこに海の神秘を感じ、信仰や伝説が起こるのであろう。
- 流し初穂
- 備讃瀬戸を航行する船が海上から金毘羅宮のある象頭山を拝んで、乗組員のさい銭を墫につめ"奉納金毘羅宮"、ののぼりを立てて海中に投げこむ
- 五人宗谷(ぞわい)
- 宇野港の沖合の鳥島と京の上搏(じょうろうじま)の間にある岩礁が五人宗谷と呼ばれている。潮が満ちて来ると海中に隠れるが、潮が引くと点々と黒い岩が顔を出す。
- 京の上臈島(きょうのじょうろうじま)
- 直島の北に位置し、高部鼻から1.3キロ程度のところにある。 このほかにも、多くの伝説がある。
- 黒岩大明神
- 歌見の沖合いは、昔、児島の北航路なっていて、このあたりの海の難所であった。
- 山伏の瀬戸
- 渋川から唐琴に山伏の瀬戸と呼ばれるところがある。そこは奇岩が重なり、崇拝の洞窟などがある聖域であった。