石島の伝説(徳兵衛岩など)
徳兵衛岩
むかし、いつの頃か、石島に徳兵衛という坊さんが、正月の経読みにやって来た。
その坊さんが西の山麓にある岩の上に下駄をそろえたまま、その姿が見えなくなった。
人々はその岩を徳兵衛岩とよんでいる。
それ以来、石島へ坊さんが来たら、必ず、組よりの者が一名づつ当番で不寝番をすることになっているという。
石島の伝説
徳兵衛岩のほか、石島には次の伝説がある。
守落し
戸尻鼻の沖合い、大蛭島との間の海峡で、ある大名船が航行中に衝突した。この時に乗っていた貴人すなわち、守が海に落ちて死んだので、このあたりを守落しと呼んでいる。
岩石の名前のおこり
石島の東岸、戸尻鼻の北側に「てんま石」という石があるが、これはてんま舟にそっくりであるのでこの名が起った。
鬼の爪
「鬼の爪」は天狗山の麓に海蝕によって鬼の手形に似たものができ、鬼の爪と呼ばれる。
あしかそわい
「あしかそわい」は石島の沖にある岩礁の一つであるが、昔、ここにあしかが来て、昼寝をしたところでこの名がある。
筏(いかだ)島
「筏(いかだ)島」、この島は、大蛭島の北にある小島だが、胸上の山から見ると、いかだが浮んだように見えるところから名づけられたという。
とにかく、石島は田畑が少なく、漁業に依存していた。こうした名前の起りも、海のものが多く、石島の生活がしのばれる。
石島
石島は胸上の南方４.８㎞の海上にある周囲5.34㎞の島である。島の北部は玉野市分で石島といい、南部は香川県直島町で井島という。現在(昭和53年当時)は、立派な波止場や荷上場・公民館もできている。二十戸ばかりの集落がある。
「玉野の伝説」
著者：河井康夫
発行：昭和53年
このカテゴリーの伝説
- 玉と宇野の地名のおこり
- 昔は、この宇野のあたりは児島の加茂の庄といっていた。
- 軽島の名のおこり
- 軽島八幡宮は、元は藤井の大生浦（大池浦）という所にあったが、神官の家から山越で遠く、不便であった。
- 簀巻き長兵衛
- 宇野二丁目に児島霊場の第十五番札所になっている日輪庵がある。このすぐ側に、高さ１メートルくらいの石の地蔵様がまつられ、花や菓子が所せましと供えられている。
- 魔の道・地蔵たわ
- 八浜の元川から田井の梶原へ越して、孫座にいたる街道の山道に地蔵たわというところがある。
- 野の浜の由来
- 田井の野の浜にも神功皇后が西征される途中に船を寄せられた話がある。
- 直島のそうめん川
- 直島の天皇神社の側にそうめん川と呼ぶ川があった。この川に奇怪な伝説が残っている。
- 琴弾の浜
- 現在の直島の南端の浜で、崇徳上皇がかいを拾い、琴を弾いてなぐさめられた浜。
- 指くれえ
- 荘内、槌ケ原の葛山と呼ばれる山の麓に年を経た大きな松が一本あった。
- 常山落城と鶴姫の奮戦
- 常山山頂には深い木立に囲まれて、女軍の墓が静かに眠っている。大きな歴史の流れの中で滅びていった常山城を常山軍記を中心に述べてみよう。
- 坊主池
- 滝の正蔵院を少し北に登ったところに、奥池がある。
- 金の甲を埋めた金甲山
- 話は由加の鬼の当時に戻るが、この鬼は、里に出ては悪行の限りをつくすので、桓武天皇は都で第一の坂上田村麻呂を由加に派遣し、鬼どもをことごとく退治した
- 波知の白玉
- この話は、かなり有名であったらしく蒹霞堂(おぎかすみどう)雑録にも紹介されている。
- ときわぐろ
- 波知の前池の下に「ときわぐろ」という妙な地名が残っている。ここはその昔、刑場であったとも言われる場所
- 沙彌高心のはなし
- 後閑部落の中程の高台に西湖寺跡がある。
- 金甲山の大くちなわ
- その昔、金甲山の山奥は大きな森林であった。そこに大きなくちなわ(大蛇)が住んでいた。
- 金甲山・常山・由加山の山くらべ
- 神代の昔に、吉備の児島の高い山がおのれの高さを競った。
- 鉾島と神功皇后
- 神功皇后は伝説の人物である。皇后は名を思長足姫命(おきながたらしひめ)と・・
- 亀石のはなし
- 番田に遊亀山とよぶところがある。これも神功皇后が三韓征伐のとき・・・
- 石島の伝説(徳兵衛岩など)
- 石島は胸上の南方４.８㎞の海上にある周囲5.34㎞の島である。
- 東児・下山坂の五輪地蔵
- 下山坂の直添の山麓にある五輪塔はお堂の中に祭られている。この五輪塔・・・
- 化粧地蔵考
- 東児地区は特に地蔵信仰が強く、寺や、辻、墓地などに古い地蔵、新しい地蔵・・・
- 王子が岳と唐琴の伝説
- 王子が岳は幾つもの山や谷からなって相当広い山地を作っている。
- 唐の王女
- 王子が岳に王子が住んでいたなら、このあたりに王女もいたにちがいない。
