児島の三兄弟
玉野の伝説に児島の三兄弟の話はよくでてくる。
昔、鬼の阿久良王(早良大師)は藤原種継を殺した罪で淡路島へ流された。そしてそこを抜け出して、児島に渡り、近郷を掠めとったという。
その三人の子は長男を東郷太郎、次男を加茂二郎(次郎)、三男を西郷三郎(西郷太郎)、また、稗田三郎といって、児島を分領した。東郷太郎は東児島をもらい、加茂二郎は加茂の庄、林をもらった。末の西郷三郎は西児島をもらった。この三家をミヤケといい、後に三宅と書き、三宅の先祖ともいわれる。
どうも、この三兄弟は鬼に関係があり、都の者に討たれたり坂上田村麻呂をわずらわしている。一説にはこの兄弟は大伴の継人の子といわれたり、宇喜多氏の先祖といわれたり、伝説にしても、その位置が固定せず、疑惑につつまれた兄弟である。これがかえって伝説の古さを物語っているようだ。
「
玉野の伝説」
著者:河井康夫
発行:昭和53年
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