岡山県玉野市に伝わる偉人や人にまつわる伝説

児島の三兄弟

玉野の伝説に児島の三兄弟の話はよくでてくる。

 

昔、鬼の阿久良王(早良大師)は藤原種継を殺した罪で淡路島へ流された。そしてそこを抜け出して、児島に渡り、近郷を掠めとったという。

 

その三人の子は長男を東郷太郎、次男を加茂二郎(次郎)、三男を西郷三郎(西郷太郎)、また、稗田三郎といって、児島を分領した。東郷太郎は東児島をもらい、加茂二郎は加茂の庄、林をもらった。末の西郷三郎は西児島をもらった。この三家をミヤケといい、後に三宅と書き、三宅の先祖ともいわれる。

 

どうも、この三兄弟は鬼に関係があり、都の者に討たれたり坂上田村麻呂をわずらわしている。一説にはこの兄弟は大伴の継人の子といわれたり、宇喜多氏の先祖といわれたり、伝説にしても、その位置が固定せず、疑惑につつまれた兄弟である。これがかえって伝説の古さを物語っているようだ。

 

 

玉野の伝説」

著者:河井康夫

発行:昭和53年

 

このカテゴリーの伝説

利生の児島高徳
児島高徳は「太平記」(南北朝時代を描いた軍記物の傑作)のなかで、中心的に活動する人物・・・
与次郎のはなし
田井に与次郎谷というところがある。
田井の住床と藤原成親卿
藤原成親は後白河法皇に気に入られ、平治の乱(1177)に源行綱、僧俊寛らと共に平氏を滅ぼそうとはかり・・・
崇徳上皇と直島
直島は田井の浦の前にあり、離れ島である。「崇徳上皇が讃岐に配流されたとき・・・
児島の三兄弟
玉野の伝説に児島の三兄弟の話はよくでてくる。 昔、鬼の阿久良王(早良大師)は・・・
児島の三兄弟と京の上臈島
京の上臈島に女の形をした石がある。この話も、不幸に死んだ京の上臈の菩提をとむらったものである
頼仁親王の配流地・豊岡の庄
後鳥羽上皇は、源実朝が死んで、源氏の血筋が絶えたのを喜んだ。政治が再び・・・
与太郎さま
八浜の大崎に、足の病を治してくれる「与太郎さま」がある。この与太郎さまは・・・
鯉のぼりを立てない里
八浜の池のうちと言う部落には、五月の節句に・・・
天神の硯井
「天神の硯井」は、延喜元年(901)、菅原道真が、藤原時平のざん言で・・・
高倉上皇とこしまの宿
八浜は市内でも最も古くから栄えたところで、今も、街角のいたる所に中世の姿・・・
僧吽(そううん)僧正のはなし
増吽僧正は、応永から文安、宝徳年間にかけて県下各地や讃岐の寺々を復興し・・・
金甲山と坂上田村麻呂
 
菅原道真とにわとり