岡山県玉野市に伝わる社寺にまつわる伝説

槌ケ原八幡宮の縁起

縁起によると由加山の鬼を退治に来た坂上田村麻呂がこの神社に戦勝を祈願し、同地の住人である加茂次郎(二郎ともいう)に案内させ、阿久羅王(阿黒羅王)という鬼を見事に退治することができたという。

(ここでは加茂二郎は鬼退治に荷担しているのが面白い)

 

この槌ケ原神社は同村の宗津、俗に加茂宗津という所に鎮座していたといわれる。

 

加茂の庄の宗津は総津、すなわち、加茂の庄では第一の港という事になるが、ここに鎮座していたのであろう。

 

天禄三年(972)、今の社地に移転した。当時はこのあたりは海であり、葛山は葛島であった。この島の頂上にお祭りしたところ、この沖を通る船が、俗に加茂落としとか葛山あらしという強風に遭って難破する船が多かったという。そこで、今の地に降ろしてからは難船がなくなったということである。

 

「玉野の伝説」

著者:河井康夫

発行:昭和53年

 

 

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