快神社の由来
八浜にある快神社に次の伝説がある。昔、八浜の宇枯木の鼻という岬に、大きな丸太が流れついた。
「一体これはなんの木だろう」と村人たちが珍しがって近づいてみると、その丸太の中から人のうなるような声が聞えてくるではないか。不思議に思って、数人の漁師がこの木を割ってみると、その中からまるで仙人のような白髭の翁が現れると、大勢の村人たちのみている中で、たちまち煙のように消え失せてしまった。
驚いた漁民たちは、「これはただごとではない」と恐れ、その木を山の頂上に埋めて、その上に小さな祠を建て、これを快神社としてまつることにした。
ところが、その後、池田光政公の時代になって領内で由緒の正しくない淫祠を取りこわすということになり、この快神社も淫祠であるとして、取り壊しにかかったところ、この小さな祠の屋根の上に金色の蛇が現われ、目をいからせ、すさまじい形相でにらみつけたので、人夫たちは恐れて誰も手をつけるものはなかった。そこで改めて、天照大神、八幡大神、大巳貴神、素盞鳴神の四座を合祀し、快神社として祀ることになったという話である。
「玉野の伝説」
著者:河井康夫
発行:昭和53年
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