岡山県玉野市に伝わる社寺にまつわる伝説

やけの観音

東田井地の部落の西側を北へ500メートルばかり登ると相坂峠であり、そのあたりを常泉庵と呼ぶ地名が地図にある。

 

そこの東光寺跡といわれるところにお堂を建てて、観音さまをおまつりしている。この本尊さまは「やけの観音」といわれ、両手首が失われているが立派な仏像である。

 

この木像は、時代は不明だが、金塗りの蓮座の上に立っている。寄木造りで、高さ五十三センチの小さなものである。

 

伝えによると、昔、金甲山が山火事の時、ある一か所は焼け残っていたので、調べてみると、そこに焼け残った観音さまが発見された。村人は「もったいないことじゃ」と東田井地の相坂峠の上り口に小さいお堂を建ててお祭りしている。

 

東田井地の長老は、「今も一月、三月、盆には観音さまをお祭りしている。特に盆には若い者が米を持ち寄って通夜をしたもの。また、観音さまを祭らねば火事が起るとも伝えられている」と話している。

 

「玉野の伝説」

著者:河井康夫

発行:昭和53年

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