宗蔵寺の如意輪観音
宗蔵寺の如意輪観音は頭に宝冠をいただき、ふところに子供を抱いた観音である。この観音は鎌倉時代に八浜の海に投げこまれたが、海中で光を放ったので、漁夫が恐る恐るこれを拾いあげ、西庄の奈美とあたりに小さなお堂を建てて祭ったという。
この後、このお堂も本尊も火災にあって全焼した。本尊が子安観音に変わって、八浜の人達の間では、子供が病気になると、この観音さまの抱いている小仏を借りて帰って家に祭れば、子供の病気が治るといわれ、小仏はいつもどこかの家に泊り、観音さまのふところにいることは少なかったといわれる。
「玉野の伝説」
著者:河井康夫
発行:昭和53年
しかしながら、以下のようなご指摘も頂きました。
改修の折の棟札発見により、如意輪観音が子安観音に変わったのはごく近年であることがわかりました。史実を大切にと言う意味から、その改修以来又もとの如意輪観音にもどしましたので今は、子供はありません。
鎌倉時代に海中からみつかり、海辺に祀られた事、天正時代には戦火を避け十禅寺に大切に安置された事、その後元の海辺にもどされ、今のお堂が建てられ、そのお堂が八浜の町を見渡せる今の位置に移されと村人による信仰はあつく今に至る。
2002年10月
「宗」様より
「宗」様より
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