御前八幡宮 蒔絵の小箱
この八幡宮に金蒔絵の小箱がある。この箱の中にウズラの卵くらいの大きさの玉と馬の毛のついた2センチぐらいの角状のものが入っている。前者を牛玉、後者を馬角といっている。これは日比八幡宮に奉納されたもので、岡山藩士、船戸助九郎が延宝六年、蟄居(ちっきょ)を命ぜられ、日比を閑居して、帰参を祈念していたが、遂に八幡宮のおかげで貞享二年(1685)にご勘気がとけ、その子弾之進が天下に珍しい牛玉馬角の小箱を奉納したものであるが、これは桃山時代の美しいものである。
話しは変わるが、「甲子夜話」という本に、弘前領内で馬の両耳のところに角が生えたという話があり、これも珍しいものであるがまんざら作りものではないかも知れない。 岡山県内でも総社市の井山宝福寺の門前の農家にも「馬の角」を伝えているという。
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南北朝時代の貞治三年(1364)、御前神社は御崎の湯頭七司という人が伊予国波止浜から勧請してきたという。
元讃岐国綾歌郡松山村高屋にあった社が、洪水のため、社殿もろとも流失し、それがこの地に流れついたので、村人がこの海岸に奉斎したものという。そのため、四国の高屋の人は毎年例祭には代表で参拝にくるといわれる。
「玉野の伝説」
著者:河井康夫
発行:昭和53年
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